2011.10.07更新
これ、いくら…??
先日の土曜日の午後、
ご依頼を受けた相続登記の戸籍謄本をチェックしていると、
事務所の電話が鳴りました。
「お休みのところ申し訳ありません。
初めてお電話するんですけど…。」
「あっ、はい。
こちらこそ、初めまして。
休みではありませんので、どうぞご安心ください(笑)」
「ありがとうございます。ところで…。
そちらの事務所では、相続登記はやってらっしゃいますか?」
「はいはい。
もちろんやっておりますよ。」
「はぁ~、そうですかぁ…。」
「(ん?何だか元気が無さそう…。)何かお悩みですかぁ?」
「あっ、いえ…。
突然のお電話で失礼とは思いますが、
実は、昨年に主人が亡ったんです。
で、その主人名義のマンションを、
私の名義に書き換えたいのですが、
どのくらい必要でしょうか…?」
「どのくらい?というのは、お金のことでしょうか?」
「はい。恥ずかしながら、お金のことなんですが…。」
「恥ずかしくなんかないですよ。
皆さん、気にされることですから。
私だって、買い物をするときには、値札を見てから買いますもん(笑)」
「ただですね…。
マンションの名義を書き換えるためには、
実費として登録免許税という“税金”が必要になるんですね。」
「この税金は、ご自身で手続きをされても必要になるものなのですが、
その税金がいくらになるかは、マンションの価値によって異なります。」
「ですから、マンションの価値が分からないと、
一口に“いくらですよ!”とご提示することが難しいんです。
ちなみに、おおよそのマンションの価値ってお分かりになります?」
「いえ、価値なんて…。
とても古いマンションですから…。」
「そうですねぇ…。そうしたらですね。
仮に、仮にですが、そのマンションの価値が1,000万円!だとしましょうか。」
「えぇ…。その位でしょうか…。」
「そう仮定すると、手続きに必要な税金は、4万円です!
で、もし、そのお手続きをご依頼頂くとなると、
その税金にプラスして、手数料、いわゆる“報酬”を頂戴することになります。
「えぇ。面倒なことをお願いするんですから、
実費以外に、支払いが必要なのは分かるんです。
で、その報酬というのは、いくら位でしょうか?」
「はい。頂戴する報酬の金額は、
その手続きを行うために、どのくらいの作業が必要になるかによります。」
「戸籍謄本や必要な書類が、予め揃っているようでしたら、
そのご負担は要りませんし、私の方で全部集めるとなれば、
その分、ご負担頂くことになります。」
「もう少し詳細をお伺い出来れば、手続きの流れをご説明のうえ、
実費含めての【お見積り書】をご提示しますが…。」
「すみません…。
だいたいでいいので、どれくらいですか?」
「そうですねぇ…。
お手元の資料を拝見しませんと、これまた一口では難しいのですが、
私の事務所の平均としましては、だいたい7万円くらいでしょうか。」
「ですよね。ですよね…。
私もそれ位だと思っていたんです…」
「ん??どうかなさいました?」
「いえ…、実は…。」
実は、このお電話の女性の方、
既に、ある司法書士事務所さんへ相続登記をご依頼されていました。
で、お電話を頂いた前日(金曜日)の夕方、
その司法書士事務所さんから連絡があったそうです。
「相続登記が終わった旨」&「ご請求の旨」の…。
そして、あさって(週明け月曜日)には、
「お支払いする予定」とのことでした…。
「請求された金額が思いのほか高くて、
それで、驚いてしまって…。」
「はぁ…。そうだったんですか…。
実は、数年前までは、“報酬基準”というのがありましてね。
“報酬”の大枠は決まっていたんです。」
「ただ、今は、“報酬”の金額については自由化されていますので、
それぞれの事務所さんで、決めた方はバラバラなんですよ…。」
「もちろん、その報酬基準に沿った“相場”というものはあるんですが、
自由化の結果、事務所によっては、倍以上違うなんてこともあり得ます。」
「でも、その司法書士さんへご相談なさったとき、
費用等のご説明は、ありませんでしたか?
『お見積り』とかのお話は、ありませんでしたか?」
「はい。ありませんでした…。
こちらから聞くのも、失礼かと思いまして…。」
改めて詳細をお聞きしたところ、
「請求書の内訳は分からない…」とのことでしたが、
内容をお聞きする限り、特に法外な値段設定という訳ではないようでした。
そのことをお伝えしたところ、
お電話の女性は、少しだけ安心されていました。
しかしながら、例え、それが妥当な金額であったとしても、
この女性は、すでに多くの不信感を感じていらっしゃいました。
同じ司法書士として、とても残念です。
「全体の費用で、この位は必要になると思いますよ」
と予めご説明していれば…。
当たり前のことですが、
司法書士には、手続きの報酬(値段)について、
キチンと説明する義務があります。
もし、この女性から依頼を受けた司法書士さんが、
報酬についての説明を一切していなかったとすれば、
この司法書士さんには明らかな“落ち度”があります…。
ですから、ボクは、この司法書士さんをかばうつもりはありません。
ボクは、お電話の女性に、
「まずは、請求書の内訳をよくご覧になって下さい。
そのうえで、不明な点は何でもご質問なさって下さい。
ご安心下さい。
ご依頼なさった司法書士さんには、
その質問に答える責任がありますから…。」
とお伝えしましたが、なんとも、後味の良くない話しでした…。
ボクは、値札の貼っていないものは買えません。
値札の貼ってない洋服をレジに持って行く…
値段の分からないお寿司を注文する…
そんな勇気はありません。
そのかわり、もし値札が貼っていなければ、
「これ、いくらですか?」と聞く、勇気が必要になります。
なんとなく聞きづらい雰囲気…
なんとなく恥ずかしさを感じる状況…
あろうことか、明らかに不機嫌になる店員さん…
色々あります。
ただ、そのひと言を聞く勇気を選ばない限り、
その買い物は、ある意味、“バクチ”です。
お買い物をする。
手続きを依頼する。
値段が気にならない訳がありません。
繰り返しになりますが、
司法書士には値札を貼る義務があり、説明する責任もあります。
ただ、司法書士は、“100円ショップ”でも、
“一皿100円の回転ずし”でもありません。
残念ながら、値段は決まっていないのです。
ですから、もし、
値札が貼っていなければ…
値札の見方がよく分からなければ…
悩まずお聞きください。
決して、決して、失礼なんかではありませんから。
「これ、いくら??」
ご自身のためにも、納得するまでお聞きください。
キチンとした事務所さんには、
当然、キチンとご説明頂けますから!!
うん、絶対!!
投稿者:
2011.10.06更新
平成23年10月5日~㈱武富士のHPより~
http://www.takefuji.co.jp/corp/nwrs/detail/111005.pdf
いまや…更生会社となっている武富士の管財人が、
創業者や旧役員等に対して、訴訟を提起したようです。
内容は、
「元役員に対する損害賠償請求訴訟」
「創業者に対する損害賠償請求訴訟」
「元役員に対する報酬の不当利得返還請求訴訟」
「創業株主・関連会社に対する配当金返還請求訴訟」
なお、創業者である武井元会長は既に亡くなっているため、
相手方は、その相続人7名…。
その請求金額の合計は、約151億9,000万円とのこと…。
もちろん、回収出来れば、第二回弁済の原資に充てられます。
第一回の弁済割合は、たったの3.3%…。
過払い金100万円が3万3,000円に…。
【管財人は、弁済原資を最大限確保するため
~(中略)本件提訴に及んだ次第です。】
ある依頼者の方がおっしゃってました。
「いいんです。
元々、返ってくるなんて思っていなかったお金ですから。
あれだけ騒がれて、武富士も大変だったと思います…。
ただ、キチンとして欲しいです。
私なんかが、説明を受けても難しいことは分からないと思います。
ただ、正しい手続きをしてくれるのであれば…、私は納得できます。」
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