2010.11.26更新
お別れの言葉…。
先日、あるご依頼者さんが、ご来所されました。
この方は、以前、
ボクの事務所で任意整理の手続きをされた方です。
足掛け約1年・・・、
やっと、やっと、すべての手続きを終えられ、
その関係書類をお渡しするためご連絡したところ、
わざわざ事務所までご来所頂きました。
実は、この方、最初にご相談頂いた時には、
各業者との取引の期間が短いことから、
今後の見通しとして、厳しいことを申し上げました。
ところが、嬉しい誤算!
ご本人様の記憶違いも手伝い、
(実際には、記憶と10年以上異なる取引もあり)
ボクの見通しはハズレました。
結果的には、
そのお借入残高のほとんどを返済する必要がなくなりました。
この時も、
「ここまで、記憶が曖昧だと、喜んでいいのか、
ある意味、心配しないといけないのか、
良く分かりませんねぇ~(笑)!?」
なんて、一緒に笑いました。
過払い状態の業者については、
裁判手続きにより、早期の解決を目指しました。
ただ、その中には、控訴された事件もあり、
最終的な解決までには、随分と時間が掛かってしまいましたが…。
このご依頼者さんは、ご本人様の希望により、
手続き費用のお支払いを、毎月毎月、
わざわざ事務所まで届けて頂きました。
その途中には、お給料がキチンと払われず、
手続き費用のことでご相談頂いたこともありました。
「すみません。今月分、ちょっとだけ遅れます…。」
ボクは、
「過払い金が発生している業者がありますから、
過払い金が戻ってきたときにご精算する形でイイですよ。
だから、月々のお支払いは、中止しましょうか?」
と申し上げました。
ところが…、
「いいえ。
一度、決めたことは守りたいので、毎月払わせて下さい。
ただ、これ以上、厳しくなったら、
正直に、相談させてもらいますので…。」
とおっしゃられ、それ以降も、毎月毎月ご来所頂きました。
その度に、今の生活状況のこと、お仕事のこと、
ご家族のことなどをお話し頂きました。
ご依頼者さんのこのご協力のお陰で、
ボクとしても、とても安心しながら、
手続きを進めることが出来たように思います。
そして…、
ご依頼頂いた債務整理手続きも、ようやく終わりに。
そう、お別れです…。
遡ること、約1年の長いお付き合いですから、
お互い、思い出すことも多いです。
一緒に思い出話しをしました。
「これは、言ってなかったかも知れませんが・・・、
実はね、先生へ相談する前に、他の事務所へも相談したんですよ。
だって、2年ぐらい悩み続けま
したから…。
ただ…。」
「でも、最初に厳しいことを言ってもらって、目が覚めました。」
そして…。
「ボクが、どんなに、感謝しているかは、
多分、先生には伝わらないと思います。」
と涙ぐまれました。
そして、そして、最後に…。
「ボクね、『多重債務者になって良かった』と思ってるんです。
だって、先生に出会えたから…。」
そんな…。
そんな、素敵な、お別れの言葉って…。
もちろん、これは、自慢ではありません。
だって、ボクは、ただただ当たり前に、
このご依頼者さんの債務整理のお手伝いをしただけです。
報酬を頂いて、仕事として…。
でも、ご依頼者さんにとっての債務整理手続きは、
ただの、当たり前の手続きではなかったんだと思います。
たくさん悩み、たくさん思い切り、とてつもない不安を感じながら、
やっとの思いで始めた手続きですから。
そう、自慢ではないんです。
ただ、ボクは、今、改めて、
そのお手伝いが出来たことを、誇りに思っています。
「先生、失礼じゃなかったら、
今後、一杯飲みに行きませんか?」
「ボク、そういうの本気にしちゃうんで、
本気で行きますよ!!(笑)」
お別れの言葉は、お別れの言葉ではなくなり、
さらに嬉しい、ありがたい言葉となりました。
大切にしたい出会い、
またひとつ増えました。
とってもありがたい言葉と一緒に…。
投稿者:
2010.11.14更新
新たな約束…。
『辞任予告通知』の発送後…。
しばらくして、依頼者さんから、長い長い、携帯メールを頂きました。
ボクは、複雑な心持ちで拝見しました。
ただ、正直なところ、
どうして連絡が取れないんだろうと考える一方で、
「依頼者さんの身に、万が一のことでも?」
と考えてしまっていたので、まずは“安心”したというのが実感でした。
頂いたメールは、早速、プリントアウトして、
何度も読み返しました。
どう返答すればいいのか考えながら、
何度も読み返しました。
でも、今にして思えば・・・、
その返答、どう内容で返信しようかは、
『辞任予告通知』を作成しながら決めていたようにも思います。
「この通知で、もし連絡が来たら、こうしよう、こう言おう」って…。
頂いたメールには、
これまで連絡が出来なかった理由が書いてありました。
『生活環境に変化があったこと』
『避けがたい思わぬ出費が続いたこと』
『精神的な疲れで体調を崩したこと』
その結果、連絡をすることが出来ない自分に対して、
自己嫌悪に陥ってしまっての悪循環。
「明日こそ、明日こそは、連絡しよう…」
と思いながら、今日に至ってしまったと…。
誰だってありますよね。
機を逸してしまうことって…。
義務感を感じれば感じるほど、
そのタイミングを見計いながら、
なかなか行動に移せないことって…。
ボク自身、とてもよく分かりました。
そんな経験、たくさんありますし、
これまで何度も後悔してきました。
だから、依頼者さんのそのお気持ち、
手に取るように分かりました。
そして・・・、
『体調も少しずつ良くなってきたこと』
『任意整理で完済を目指したいこと』
『心を入れ替えて頑張りたいこと』
出来ることなら、もう一度だけ、力を貸してほしい・・・。
そう、書いてありました。
以前も書きましたが、この依頼者さんとは、
受任に際しては、じっくり話し合いました。
だから、この依頼者さんが、どのくらい困ってて、
どのくらい真剣で、どのくらい頑張るつもりなのか、
も理解していたつもりでした。
「かなり大変だと思います。
でも、一緒に頑張りましょうね。」
だから、約束しました。
でも、その約束、
今回は、残念ながら、守られませんでした。
依頼者さんもメールで、
「最初に、『連絡が取れなくなることだけは、
避けて下さいね』と言われていたのに…。」
と反省されていらっしゃいました。
ただ、やっぱり、ボクは、決めていたんだと思います。
「もし連絡が来たら、こうしよう、こう言おう」って…。
大変失礼な言い方だと思いますが、
こういう内容の連絡があることも、予想していたように思います。
ボクは、そう、願っていました。
『辞任予告通知』を作成しながら、感じていた
裏切られた思い…
悔しい思い…
情けない思い…
業者に対する申し訳ない思い…
そして・・・、最後にもう一度だけ、信じたい思い…
でも、もう一度だけでも、信じたかったから、
やっぱり、そう願っていました。
依頼者さんには、再度、事務所にお越し頂くようお願いしました。
「とりあえず、ゆっくり話しましょう。
出来ることなら、ボクも協力したいと思います。
でもね、まずは、現在の生活状況をお聞かせ頂けませんか。」
というメールを返信しました。
まずは、依頼者さんとボクとの時間の空白を埋めなくては…
と思いました。
依頼者さんからの返信メールは、すぐに来ました。
「ご連絡、ありがとうございます。
この度は、本当に申し訳ありませんでした。
それでは、早速、お伺いしたいと思います。」と…。
後日、ご来所頂いたとき、
依頼者さんは、かなり緊張されていらっしゃいました。
それはボクも一緒でした。
ただ、依頼者さんは、
吹っ切れた様子でもありました。
今までの経緯をご報告して頂いたあとで、
「・・・でも、
やっぱり、逃げていてはダメなことに気付きました。
だから、大変身勝手なんですが、
もう一度だけ、力を貸して頂けないでしょうか。」
…嬉しかったです。
ボクなんかをこうして頼って頂けること。
純粋に、純粋に嬉しく思いました。
ただ、ボクには、慎重に言葉を選ぶ必要がありました。
中途半端な“優しさ”で“責任”を取ることは出来ません…。
“優しさ”と“責任”のバランス…。
守られなかった約束…。
(なんて言ったらいいのか…。)
ただですね…、
やっぱり、やっぱり、これも決めていたんだと思うんです。
依頼者さんにご来所頂いて、ゆっくり現状をお伺いすることは、
ボクにとっての、ただの“確認”に過ぎなかったんだと思います。
だから、その“確認”をさせて頂いたうえで、
その決めていた言葉を申し上げました。
「かしこまりました。
ただ、今回のことを、すべて水に流すわけにはいきません。
だから、もし、もしも、また同じことが起こるとすれば、
その時は、『辞任予告通知』ではなく、『辞任通知』になります。
冷たい言い方ですが、それは、ご理解下さいね。」
「ただ、そのうえで、もう一度、頑張って頂けるなら、
もう一度、“約束”をして
頂けるなら、
ボクも、力の限りのご協力をさせて頂きますので、
また、一緒に頑張りましょう。」
「そして、この“約束”は、“新たな約束”ということにしましょう。
違いは、もし、同じことが起こったときだけです。
もしも、同じことが起こったときには、必ず辞任させて頂きます。
でも、これは、“新しい約束”ですから、
これまでのこととは関係なく、ボクは、この“約束”を100%信じます。
ですから、どうか、どうか、新たな気持ちで頑張って下さいね。」
裏切られた思い…
悔しい思い…
情けない思い…
業者に対する申し訳ない思い…
そして・・・、最後にもう一度だけ、信じたい思い…
結果、ボクは、信じることにしました。
真剣な眼差しで、「もう一度、やり直したい。」
とおっしゃる依頼者さんを、もう一度、信じることにしました。
もちろん、ボクは、100%信じています。
ただの人間として、素直に、優しさをもって、
ただの司法書士として、責任をもって、100%信じています
「ご依頼者さん、大丈夫ですよね?」
「“新たな約束”、ボク、本気で信じていますからね。」
投稿者:
2010.11.07更新
ただの約束・・・!?
すみません。
時間の調整がうまく行かず、ブログの更新も、
しばらく振りとなってしまいました…。
仕事で忙しくしたり、たくさんの方々とお会いしたりすると、
ブログを更新する時間の余裕は、なくなってしまうのですが、
その一方で、ブログで書きたい話題がドンドン出てきて、
それがドンドン溜まっていくという…、まさしく負の連鎖…!?
ここ最近は、そんな充実感と焦燥感を感じております。
ただ、ボクとしては、
次回の記事は、絶対に、前回の続きにしたいんです。
これまでも、「次回に続く~」なんて、
中途半端なところで切り上げて、先延ばしにしてきました。
例えば、富士山の話しもそうです(苦笑)
まだまだ、山小屋を出発したばかりで止まっております…。
まぁ、富士山の話しは、あくまで個人的な趣味?の話しですので、
ボクとしても、「まぁまぁ、時間があるときに…」って感じで捉えています。
(でも、絶対に続けますからね…!!)
ただ、今回の繋がりの記事については、
きちんとした形で繋げたい(終わらせたい)と思っています。
どうでもいいことかも知れませんが、
ボクの中での重要度の違いだと思います。
ボク、当然のことなのに、しょっちゅう口にしてますが、
「ボクは、何者でもありません。」
仕事上では、“先生”なんて呼ばれたりしますが、
ボクは、やっぱり、ただの司法書士にしか過ぎません。
「やっとの思いで債務整理に踏み切った依頼者さん」
「それをお手伝いする、ただの司法書士」
との約束…。
との信頼関係…。
ですので、ごめんなさい。
本当に言い訳がましいのですが、
可能な限り、きちんとした内容でお伝え出来ればと思いますので、
もうしばらくお持ち頂ければ幸いです。
投稿者:
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