わたくし事

2011.11.29更新

ちょっとだけ早い死…。

つい先日、親戚のお通夜に行ってきました。

 

遠縁の親戚でもあり、

 

これまでにお会いしたことは、ほんの数回、

 

前回お会いしたのも、恐らく10年以上も前。

 

その当時で50代半ば…。

 

ボクの中では、“仕事バリバリのおじさん”の印象でした…。

 

ですから、

 「お久しぶりですね。

 

実は、“相続”のことで、一度、ご相談したいんですけど…」

 

と、その奥さんからお話しを伺ったときには、

 

てっきり、お知り合いの方の話かと…。

「えっ、えっ、おじさんが亡くなったんですか…??」

 

それはそれは、驚きました…。

実はこのおじさん、

 

ボクが約15年前、役者を目指して東京へ出て来たとき、

初めて、その関係でのお仕事を紹介してくださった方なんです。

 

上京後、しばらくしたとき、

 

ご自宅へ食事に招いて頂きました。

 

初めてお会いするおじさんは、とてもフランクな感じで、

 

「実は、ボクも学生の頃に芝居をしてたんだよ…。」

なんと、その奥さんも芝居をなさっていたとのことで、

 

ご夫婦揃って芝居好きでした。

おじさんは、その当時、広告関係の仕事に就かれていましたが、

 

「どんな芝居が好きなの?」

 

「あの役者さんはいいよね??」

 

色々な話を聞かせて頂きました。

 

ボクにとっては憧れである、

 

古き良き時代の芝居の話もして頂きました。

 

「大変だと思うよ。でも、頑張ってみなさい」

 

「キミなら上手く行よ!!」とか、

 

「そんな簡単な世界じゃないよ!!」とか、

 

「早めに見切りをつけた方がいいよ」、

 

そんなことは、ひと言もなく、

 

ただ、「頑張ってみなさい」って…。

その後、その方から、

 

ある有名な芝居の“裏方”の仕事をご紹介頂きました。

 

「勉強になるといいね」って。

もちろん、

 

ひとりの役者として舞台に立つことは出来ませんでした。

 

しかし、それが、上京後のボクにとって全ての始まりでした。

「絶対に、これで“メシ”を食ってやる!!」

 

何も知らない、何も分かっていない、

 

ただの世間知らずな、小生意気な若造だったと思います。

 

にもかかわらず、非常に貴重な機会を与えて頂きました。

 

あれから、約15年…。

色々なことがありました。

そう、本当に色々なことがあり、

 

ただの役者さんにすらなれなかったボクは、

 

ただの司法書士として、今、この仕事をしています。

でも、まさか、このボクが、

 

その方の、そのおじさんの相続に関係し、

 

司法書士として仕事をすることになるなんて…。

 

たったの66歳…。

 

久々に見た笑顔が『遺影』だなんて…・。


「何なんだよ!人生って??」ってやっぱり思いますよ。

 

でも、何か違うんです。

 

単に悲しいとか、単に淋しいとかと、ちょっと違うんです。

 

「そうだったよなぁ。

 

あれから、芝居、止めちゃったんだよな。

 

残念だったな…。

 

でも、いいじゃないか。

 

今の仕事、一生懸命頑張りなさいよ」

 

そんなこと、言ってもらえるんじゃないかと…。

 

「今は今で色々あるんだろう。

 

そりゃぁそうだよ。

 

ボクだって、今まで色々あったもん。

 

でも、頑張ってみなさい」

そんな風に、今でも言ってもらえる気がして…。

 

でも、

 

お通夜のとき、

 

おじさんの奥さんが、悲しみの笑みでこうおっしゃっていました。

 

「自分の好きなことをして死ねるのは幸せなこと。

 

だから、きっと本人も納得していると思うよ。

 

病気になっても、最後までお酒、止めなかったもん…。

 

でもね…、ちょっと、

 

ちょっとだけ、早いかな…」

 

そうだね…。

 

「おじさん、応援ありがとうございました。

 

その節は、本当にお世話になりました。

 

でもね…、奥さんが言うとおり、

 

やっぱ、ちょっと、早いと思う…。」

 

投稿者: ナチュラル司法書士事務所

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