わたくし事

2010.11.14更新

新たな約束…。

『辞任予告通知』の発送後…。


しばらくして、依頼者さんから、長い長い、携帯メールを頂きました。


ボクは、複雑な心持ちで拝見しました。

ただ、正直なところ、


どうして連絡が取れないんだろうと考える一方で、


「依頼者さんの身に、万が一のことでも?」


と考えてしまっていたので、まずは“安心”したというのが実感でした。

頂いたメールは、早速、プリントアウトして、


何度も読み返しました。

どう返答すればいいのか考えながら、


何度も読み返しました。



でも、今にして思えば・・・、


その返答、どう内容で返信しようかは、


『辞任予告通知』を作成しながら決めていたようにも思います。



「この通知で、もし連絡が来たら、こうしよう、こう言おう」って…。


頂いたメールには、


これまで連絡が出来なかった理由が書いてありました。

『生活環境に変化があったこと』


『避けがたい思わぬ出費が続いたこと』


『精神的な疲れで体調を崩したこと』

その結果、連絡をすることが出来ない自分に対して、


自己嫌悪に陥ってしまっての悪循環。

「明日こそ、明日こそは、連絡しよう…」


と思いながら、今日に至ってしまったと…。

誰だってありますよね。


機を逸してしまうことって…。

義務感を感じれば感じるほど、


そのタイミングを見計いながら、


なかなか行動に移せないことって…。

ボク自身、とてもよく分かりました。


そんな経験、たくさんありますし、


これまで何度も後悔してきました。

だから、依頼者さんのそのお気持ち、


手に取るように分かりました。

そして・・・、


『体調も少しずつ良くなってきたこと』


『任意整理で完済を目指したいこと』


『心を入れ替えて頑張りたいこと』

出来ることなら、もう一度だけ、力を貸してほしい・・・。


そう、書いてありました。


以前も書きましたが、この依頼者さんとは、


受任に際しては、じっくり話し合いました。

だから、この依頼者さんが、どのくらい困ってて、


どのくらい真剣で、どのくらい頑張るつもりなのか、

も理解していたつもりでした。

「かなり大変だと思います。


でも、一緒に頑張りましょうね。」


だから、約束しました。

でも、その約束、


今回は、残念ながら、守られませんでした。

依頼者さんもメールで、


「最初に、『連絡が取れなくなることだけは、


避けて下さいね』と言われていたのに…。」


と反省されていらっしゃいました。

ただ、やっぱり、ボクは、決めていたんだと思います。


「もし連絡が来たら、こうしよう、こう言おう」って…。

大変失礼な言い方だと思いますが、


こういう内容の連絡があることも、予想していたように思います。

ボクは、そう、願っていました。

『辞任予告通知』を作成しながら、感じていた


裏切られた思い…


悔しい思い…


情けない思い…


業者に対する申し訳ない思い…


そして・・・、最後にもう一度だけ、信じたい思い…



でも、もう一度だけでも、信じたかったから、


やっぱり、そう願っていました。

依頼者さんには、再度、事務所にお越し頂くようお願いしました。


「とりあえず、ゆっくり話しましょう。


出来ることなら、ボクも協力したいと思います。


でもね、まずは、現在の生活状況をお聞かせ頂けませんか。」


というメールを返信しました。

まずは、依頼者さんとボクとの時間の空白を埋めなくては…


と思いました。

依頼者さんからの返信メールは、すぐに来ました。


「ご連絡、ありがとうございます。


この度は、本当に申し訳ありませんでした。


それでは、早速、お伺いしたいと思います。」と…。

後日、ご来所頂いたとき、


依頼者さんは、かなり緊張されていらっしゃいました。


それはボクも一緒でした。

ただ、依頼者さんは、


吹っ切れた様子でもありました。

今までの経緯をご報告して頂いたあとで、


「・・・でも、


やっぱり、逃げていてはダメなことに気付きました。


だから、大変身勝手なんですが、


もう一度だけ、力を貸して頂けないでしょうか。」



…嬉しかったです。


ボクなんかをこうして頼って頂けること。


純粋に、純粋に嬉しく思いました。

ただ、ボクには、慎重に言葉を選ぶ必要がありました。


中途半端な“優しさ”で“責任”を取ることは出来ません…。

“優しさ”と“責任”のバランス…。


守られなかった約束…。


(なんて言ったらいいのか…。)

ただですね…、


やっぱり、やっぱり、これも決めていたんだと思うんです。

依頼者さんにご来所頂いて、ゆっくり現状をお伺いすることは、


ボクにとっての、ただの“確認”に過ぎなかったんだと思います。

だから、その“確認”をさせて頂いたうえで、


その決めていた言葉を申し上げました。

「かしこまりました。


ただ、今回のことを、すべて水に流すわけにはいきません。


だから、もし、もしも、また同じことが起こるとすれば、


その時は、『辞任予告通知』ではなく、『辞任通知』になります。 


冷たい言い方ですが、それは、ご理解下さいね。」




「ただ、そのうえで、もう一度、頑張って頂けるなら、


もう一度、“約束”をして
頂けるなら、


ボクも、力の限りのご協力をさせて頂きますので、


また、一緒に頑張りましょう。」




「そして、この“約束”は、“新たな約束”ということにしましょう。


違いは、もし、同じことが起こったときだけです。


もしも、同じことが起こったときには、必ず辞任させて頂きます。


でも、これは、“新しい約束”ですから、


これまでのこととは関係なく、ボクは、この“約束”を100%信じます。


ですから、どうか、どうか、新たな気持ちで頑張って下さいね。」





裏切られた思い…


悔しい思い…


情けない思い…


業者に対する申し訳ない思い…


そして・・・、最後にもう一度だけ、信じたい思い…



結果、ボクは、信じることにしました。

真剣な眼差しで、「もう一度、やり直したい。」


とおっしゃる依頼者さんを、もう一度、信じることにしました。

もちろん、ボクは、100%信じています。

ただの人間として、素直に、優しさをもって、


ただの司法書士として、責任をもって、100%信じています

「ご依頼者さん、大丈夫ですよね?」


「“新たな約束”、ボク、本気で信じていますからね。」


投稿者: ナチュラル司法書士事務所

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