2010.08.10更新
早く出会えていれば・・・。
つい先日のこと、「相続登記について教えてもらっていいですか?」
というお問い合わせの電話がありました・・・。
手続きの内容について、簡単にご説明したところ、
「今から、事務所に伺ってもいいですか?」とのこと。
ご相談者さんは、年配の女性のようでしたが、
かなりお急ぎのご様子。
「あっ、えっ、今からですか?
(日程表を見ながら)え~と、構いませんが、
ただですね、お手元に資料がないと具体的なご説明は、
出来ないかも知れませんよぉ・・・。」
とお伝えしました。
あくまで、ボクの経験上の話ですが・・・、
特にお急ぎの方って、ご相談の場で全部解決することが出来ないと、
ご不満に思われたり、ご立腹される方がいらっしゃいます・・・。
確かに、せっかく直接お話するのですから、
その辺の本にでも書いてあるような情報をお伝えしたところで、
ご満足はして頂けないでしょう。
そんな一般的な話をしても、
「それで・・・、結局、どうすれば?」なんてことになりかねません。
それでは、お互いに残念・・・。
ただ、一方で、適当なことを口にするわけにはいきませんから、
何の資料もないと、ボクとしても具体的な説明のしようがないのです・・・。
ですので、電話を切る前に、
再度、必要な書類等のご説明を差し上げました。
そのうえで、
「お手元に何か書類があれば、是非、お持ち下さい。」と。
そのところ、
「分かりました。それでは、あるもの全部持っていきますね。」とのこと・・・。
それからお待ちすること、約30分余り、
「ちょっと、迷っちゃいましたぁ~」と苦笑いをされながら、
先程のお電話の方がいらっしゃいました。
お越しになったのは、年配の女性とそのお子さんのおふたり。
まずは、ご挨拶、
そして、お話をお聞くと、その年配の女性、
「数年前に主人が亡くなったんです。
主人名義の家を、この娘の名義に変更しようと思ったのですが・・・」
ということでした。
「そうですかぁ・・・。もちろんご協力しますよ。
それでは、お持ち頂いた書類を拝見できますか?」
お持ち頂いた書類は、ほぼ完ぺきでした・・・。
戸籍謄本、不動産の登記簿謄本、評価証明書が一式揃ってました。
詳しく拝見したところ、昔の戸籍が一部足りませんでしたが、
お話をするには十分でした。
ボクは、驚きのあまり、
「えっ、これ、ご自身で全部お揃えになったんですか?」とお聞きしました。
「そうなんです・・・。
実は、誰に頼んだらいいのか分からなくて、
色々なところで聞きながら、色々なところへ行って揃えました。
区役所、法務局、都税事務所、色々と行きました・・・。」
「ただ、区役所に行けば、法務局に行けって言われるし、
法務局に行けば、『都税事務所に行って書類を取って来い』と言われるし、
そして書類を取って、また法務局に行ったら、
今度は、書類が足りないから、また区役所に行けって・・・。
私は、足が悪いもんで、大変でした・・・。」
あらら・・・
まさしく、たらい回し・・・。
ただ、これには、仕方がない点もあります。
書類を揃えるためには、その取得先が異なるからです。
戸籍謄本は、区役所
不動産の登記簿謄本は、法務局
固定資産の評価証明書は、都税事務所
合同庁舎とかで、全部一つの建物に入っていれば、良いのですが、
ボクの事務所がある東京の板橋区ではそうではありません・・・。
ですので、必要な書類を全部揃えようと思うと、
必然的にそれぞれの場所に出向く必要があるのです。
実際、ボクも、書類を揃えるために、グルグル回ってます(笑)
ただ、その方は、こうもおっしゃいました。
「最終的には、『司法書士さんに頼んだら?』って言われました。
ただ、司法書士さんって言われても、誰も知りません。
私はもうこの歳ですから、この先長くはありません。
ですから、急いで手続きを済ませて、
早く、安心したかったのです・・・。」
「昔は、違った!」なんて話も聞きますが、今は、どこの役所も親切です。
相談コーナーがあったりしますし、聞けば色々と教えてくれます。
色々な事務所さんだって、電話でもすれば、色々と教えてくれるはずです。
情報を集めるだけなら、それほどの労力は要らないかも知れません。
ただ、総合的・複合的な判断をしてくれるかは別です。
責任をとってくれるのかも別の話です。
そうなると、やはり・・・、
自分自身で、信頼できる専門家を探すしかないってことになってしまいます。
ただ、これこそが、とっても難しいことですよね。
『信頼出来る人を探す』って、
そんな簡単な話ではありませんものね・・・。
今回のご相談者さん、お聞きすると、結構ご近所の方でした。
そして、色々と調べてボクの事務所にご連絡頂いたそうです。
「早く出会えていれば・・・」のお言葉に対して、
ボク自身、最初からご協力出来ていれば、
悪い足でわざわざ歩き回る必要はなかったのに・・・。
手続きも早く進められたのに・・・。
と思いながら、何だかとても切ない気持ちになりました。
ボクは、今現在、ご依頼頂いているご依頼者さんのために、
頑張っているつもりです。
それは、当たり前のことです。
ボクには、その責任があります。
ただ、ふと、考えてしまいます。
ボクは、一体、何を考えながら、この仕事をやっているんだろう・・・。
そして、これから、どう考えながら、この仕事をしていくんだろう・・・。
ご依頼して頂くことで始まる、依頼者さんとの関係
ボクは、その依頼を受けることでしか、ご協力することは出来ません。
ご依頼して頂かない限り、何の役にも立てません。
他にも、専門家さんはたくさんいます。
司法書士さんもたくさんいらっしゃいます。
ボクが、余計なことを考える必要はないのかも知れません。
ただ・・・。
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